関節リウマチで血管・眼・内臓に現れる病気




関節リウマチは体の関節に主に症状が現れますが、全身の血管や臓器にも異常を起こすことがあります。
これらの症状は関節リウマチの「関節外症状」と呼ばれていて、皮膚や内臓を作るコラーゲンというタンパク質などに生じる炎症が原因で発症します。

リウマチで現れる全身症状の種類

手根管の圧迫

手首には「手根管」という神経が通るトンネルがあります。この手根管の周囲には関節や手首の皮膚がすぐ近くにあり、手首の皮膚や関節に起こる炎症が原因でさまざまなトラブルが起こります。
リウマチの場合では特に、「関節」や「関節包」に生じた炎症が原因で手首を通る神経(正中神経)が圧迫され、特に手の指の感覚の低下などを引き起こします。

強膜炎

強膜炎という症状は、目の「強膜」という白目を作っている部分に起こる炎症で、目を作るコラーゲン線維に起こる炎症です。
目が充血したり目の動きが悪くなることが主な症状で、目の痛みや光を眩しく感じるなどの不快な症状を伴うこともあります。長期間に渡って強膜炎を起こすと視力の低下につながることもあるので、違和感を感じたらすぐに医師に相談することが大切です。

皮下結節

皮下結節は関節リウマチで困っている患者さんの4人に1人に現れる症状で、皮膚の下に豆のようなコブができる症状です。リウマチの症状が悪化するタイミングに合わせて出現することが多く、皮膚にあるコラーゲン線維の炎症が原因で起こるといわれています。

心外膜炎

関節リウマチで発症する心外膜炎はとても軽度で、特に自覚症状を伴うこともありません。
心臓は「心外膜」という膜に包まれた状態で左右の肺の間に入っていて、この心臓を包む膜に起こる炎症が「心外膜炎」です。関節リウマチと名前が似ている「リウマチ熱」いう名前の病気でも心外膜炎が起こるのですが、こちらは関節リウマチに比べて非常に症状が重く、心臓に負担をかけることがあります。

続発性アミロイドーシス

腎臓に現れる症状で、長期間にわたって関節リウマチの症状が現れている患者さんには特に注意が必要な症状です。
アミロイドという異常なタンパク質が腎臓の中に溜まり、尿を作る機能が低下します。尿は体の中の不要な成分や電解質を排泄する働きがあり、尿を作る機能の低下は、不要物を体の外へ出す仕組みが十分でなくなることを意味します。症状が長引くと人工透析によって不要物を体外へ出す処置も必要になるので、長期間に渡るリウマチの症状には注意が必要です。

間質性肺炎・肺線維症

肺の中に起きる炎症の中で、コラーゲンでできた部分に炎症が起こる状態です。炎症を繰り返していくと肺はどんどん硬くなり、肺の伸び縮みが悪くなってしまいます。肺は大きな風船のような臓器で膨らんだり縮んだりを繰り返しながら酸素の取り込みを行っています。この活動が低下すると空気の交換がうまくいかず、息切れしやすくなります。このように炎症を繰り返すことで肺が硬くなった状態を「肺線維症」といい、常に酸素ボンベを携帯する必要になる場合もあります。

このようなリウマチ関連の「関節外症状」はリウマチの症状よりも先に現れてくることがあります。ですので、関節外症状の早期発見は、リウマチの進行を食い止めることにつながります。毎日の生活でおかしな点がないか気をつけるようにしましょう。