リウマチの原因に効く薬を使った治療





リウマチの治療にはさまざまな薬を用いる薬物療法(薬を使った治療)が中心です。使用する薬の種類は多岐にわたっていて、症状に応じて複数の薬剤を組み合わせて使用します。

リウマチの原因である「リウマトイド因子」の減少や、炎症を起こしている免疫細胞の働きを抑える薬があります。この種類の薬では非常に重い副作用が出てくることがあるので、かならず医師や薬剤師の指導のもとに服用します。

特にリウマチの原因に作用する「抗リウマチ薬(DMARDs)」が非常に重要です。

1.非生物化学的抗リウマチ薬

「非生物学的抗リウマチ薬」は、化学的に合成された成分でできており、免疫の活動を抑えたり免疫反応をコントロールする薬です。代表的な薬は「免疫調整薬」と呼ばれるもので、正常に働いている免疫の活動には影響を与えずに、異常な動きをしている免疫にだけ作用する薬です。

金製剤

「金製剤」は貴金属の金が含まれているのではなく、金と薬の成分を合体させた薬で、もともとは結核の治療に使われていた薬剤でした。
関節の炎症で皮膚が赤くなる原因には「好中球」という細胞が体を壊してしまうことが原因なのですが、金製剤はこの働きを抑えて炎症を抑制します。このため、細胞が体を壊さずにすみり、リウマチの症状を弱めることができます。

金製剤の代表的な薬

商品名 一般名
シオゾーラ 金チオリンゴ酸Na
リドーラ オーラノフィン)

SH基剤

SH基剤はリウマチの反応全体を低下させる薬です。血液中の「リウマトイド因子」を分解する作用があり、免疫反応の主体となっている情報伝達をストップさせる薬です。このため、異常な免疫反応全体が抑え込まれるので、リウマチも症状も抑制されます。

SH基剤の代表的な薬

商品名 一般名
リマチル ブシラミン

サルファ剤

サルファ剤はもともと抗菌薬として作られた薬です。このサルファ剤に化学的に手を加えた薬がリウマチの治療に用いられていて、炎症を引き起こす物質「プロスタグランジン」を作らなくさせる働きがあります。
この薬は効果が早く現れますが、その作用がやや弱いので、症状が軽い関節リウマチに用いることが多い薬です。副作用も非常に少なく、高齢者の方にでも用いることができます。

SH基剤の代表的な薬

商品名 一般名
アザルフィジン サラゾスルファピリジン

2. 生物学的抗リウマチ薬

生物学的抗リウマチ薬は、リウマチの原因となっている免疫情報を伝える物質の働きを阻害する薬です。特に「TNF-α」という体内で強い炎症を引き起こす原因になっている物質を阻害するレミケード(一般名:インフリキシマブ)が特に頻繁に用いられています。
関節リウマチで特徴的な骨の破壊を抑えることができるので、非常に重要な薬です。

生物学的抗リウマチ薬の代表的な薬

商品名 一般名
レミケード インフリキシマブ

3. 免疫抑制薬

免疫抑制剤は免疫の反応全体を抑える薬です。副作用として感染症にかかりやすくなるので、定期的に医師と相談しながら使う必要があります。

代謝拮抗薬

代謝拮抗薬は免疫に関与する細胞の分裂を抑えます。免疫細胞は免疫反応を引き起こすときに免疫細胞の数を増やしながら体を守ります。リウマチではこの体を外敵から守るはずの細胞が、逆に体を攻撃しているため、人体にとって免疫細胞が増えすぎるとかえって体にダメージを負ってしまいます。代謝拮抗薬で免疫細胞の数を抑え、強い炎症やリウマチの症状が出現する働きを抑えます。

代謝拮抗薬の代表的な薬

商品名 一般名
メトトレキサート リウマトレックス など

その他の免疫抑制薬

メトトレキサートで十分な効果が得られない場合に合わせて服用します。

代謝拮抗薬の代表的な薬

商品名 一般名
レフルノミド アラバ
シクロスポリン ネオーラル
タクロリムス プログラフ

レフルノミド(商品名:アラバ)

体内で長期間作用をする薬で、効果はメトトレキサートと同様な作用があるといわれています。

シクロスポリン(商品名:ネオーラル)

シクロスポリンは免疫の中枢を担っている「T細胞」という細胞の働きを抑える作用があります。T細胞は免疫の司令塔として働いていて、ほかの細胞の免疫反応を活性化する細胞で、T細胞の働きを抑制することで過剰な免疫反応が抑制されます。副作用として腎障害や高血圧などの症状が出てくるので、注意して服用しましょう。

食べ物との食べ合わせで注意が必要で、グレープフルーツと服用することは避ける必要があります。

タクロリムス(商品名:プログラフ)

タクロリムスは比較的新しい薬です。メトトレキサートよりも副作用が少ないので比較的よく用いられている薬です。