リウマチ熱と関節リウマチの違い




関節リウマチに似ている名前の病気に「リウマチ熱」という病気があります。リウマチ熱は関節リウマチと名前が似通っているのですが、その原因はまった
く異なっています。

リウマチ熱は感染症が原因

リウマチ熱は「A群β溶血性連鎖球菌」という細菌が原因で発症する病気です。この細菌は一般的に「溶連菌」と呼ばれ、感染によりさまざまんな症状が現れます。

1.初期の感染

溶連菌の感染の初期症状は「急性扁桃炎」です。非常に高い熱が出てるのが特徴で、喉が腫れ、食べ物を飲み込むのもついくらいほど痛みを伴った炎症(咽頭炎)が起こります。このほかにも、皮膚に感染すると「丹毒」という皮膚全体に炎症が起こる病気に至ることがあります。
これらの咽頭炎や丹毒などはどれも抗生物質を投与することで症状が治まるので、特に大きな心配は必要ない病気です。

2.感染後に起こりうるリウマチ熱

ごくまれに、溶連菌の感染を何度も繰り返すと、リウマチと同じような症状を引き起こすことがあります。主な症状は関節の痛みや発熱、皮下結節などの症状で、このような状態を「リウマチ熱」と呼んでいます。
リウマチ熱は、溶連菌に対して攻撃しようとして体内で作られたタンパク質が、間違えて自分自身に攻撃を仕掛けてしまうことで起こる病気で、リウマチと同じように関節や皮膚を作る細胞やコラーゲンなどを標的にしてしまう病気なのです。

3. 似ているけど違う、リウマチ熱の心症状

リウマチ熱では心臓にさまざまな症状が出ます。関節リウマチでは心臓への影響は軽微ですが、リウマチ熱は「不整脈」や「弁膜症」の原因になることがあるので注意が必要です。さらに、リウマチ熱は「心外膜炎」という心臓を包む膜の炎症から始まり、心臓自体の細胞の炎症が起こります。このため、心臓の弁に異常が生じ、弁がうまく閉じなくなることがあるのです。こうなってしまうと心臓には常に負担がかかり、症状が重い場合には心臓の内部にある弁を交換する手術が必要になるのです。

心臓の手術は体に大きな負担をかけることになるので、症状が初期の段階で食い止めることが大切です。「リウマチ熱かもしれない」と思ったら、早めに医師に相談して、症状が進行する前に治療を開始しましょう。

リウマチ熱になったら気をつけること

リウマチ熱と診断されたときには、「急性糸球体腎炎」という腎臓への異常が出てくることがあります。急性糸球体腎炎では、腎臓で尿を作っている部分へ体が間違えて攻撃を仕掛けてしまいます。尿を作る機能が低下することで、尿量が少なくなったり、尿の中に血液が混ざるような異常が起こります。症状が進行すると、体の水分がうまく排泄されずにムクミが出ることがあるので、何か異常を感じたら医師に相談して治療を受ける必要があります。