痛みを抑えるためのコントロールは非常に重要な治療です。痛みを取り除くことが目的なので、リウマチの原因を治す治療ではないのですが、日常生活を送る上で痛みの悩みを解決するというのは重要な意味があります。たとえば、歯が痛い、頭が痛い状態が何日も続くと思うと気が滅入ってしまいます。痛みはそれだけで十分に不快な症状で、痛みのコントロールにはさまざまな治療薬が用いられています。
痛みのコントロールに必要な薬
痛みのコントロールには「鎮痛薬」を用いた治療を行います。鎮痛薬には大きく3種類の系統があり、痛みをしっかりと除去して症状を緩和するためにはそれぞれの特徴を踏まえて使い分けることが大切で、長期にわたり副作用などを考慮しながら使い分けを考えます。
1. 非ステロイド性解熱鎮痛薬(NSAIDs)
非ステロイド性解熱鎮痛薬はNSAIDsと呼ばれる薬の仲間で、バファリンやロキソニンなどの薬が代表的です。
炎症を起こしている患部ではCOXという酵素で炎症の原因物質である「プロスタグランジン」を作り出しています。この酵素COXの働きを抑制し、プロスタグランジンの合成を減少させることで、痛みや発熱などの炎症特有の症状を抑えます。副作用は胃の粘膜の減少などがあるのですが、そのほかに特に目立った副作用がなく、どの患者さんでも使える非常に幅広く用いられている薬です。
2. ステロイド剤
ステロイドは炎症を抑える上で非常に重要な薬です。皮膚科では塗り薬として幅広く用いられ、慢性的な炎症を抑えるために頻繁に使われています。
このステロイドの飲み薬は全身の炎症をコントロールする上で非常に重要な薬で、炎症を落ち着かせ、痛みを和らげる効果があります。
ステロイド系の抗炎症剤は痛みの原因(プロスタグランジン)を減らすのではなく、炎症を抑えることで痛み自体を取り除く治療です。ですので、炎症が落ち着くまで痛みが継続し、短時間で効果が出ることはありません。
服用後炎症が治まりだしてから痛みが引いてくるので、同時に痛みを緩和するようなバファリンやロキソニンなどの服用を行うことが一般的です。
ステロイドは非常に優れた薬ですが、副作用もあります。ステロイドの副作用は免疫抑制です。免疫の作用を抑えることで炎症が落ち着くのですが、細菌や微生物への感染が起こらないように気をつけなくてはなりません。しかし、この免疫を抑える作用によってリウマチによる強い炎症が抑制されるので、リウマチの治療でステロイド剤を用いることは理にかなっているのです。
3. オピオイド系鎮痛薬
オピオイドは麻薬系の薬剤のことです。リウマチのような強い痛みをコントロールするためには、このオピオイド系鎮痛薬という麻薬に近い成分の薬を用いることがあります。強い痛みにも効果を発揮するので、苦痛を最大限抑制しながら生活ができます。
オピオイド系の薬には便秘などの副作用や、依存の心配がついて回るのですが、薬剤師や医師の適切な指導のもとでの服用であればまったく問題ありません。不安な場合には医療機関に相談するといいでしょう。
痛みのコントロールにはペインクリニックを頼ることも必要
痛みというのは非常に難しいもので、痛みが継続していると脳が痛みを自然と覚えてしまい、痛みが慢性化してしまうことがあります。
慢性的な痛みは扱いがとても難しく、痛みには麻酔を得意とする麻酔科医が行うペインコントロールが有効です。膠原病内科の医師や麻酔科の医師と相談しながら治療を行いましょう。