免疫の仕組みとリウマチ
関節リウマチを正しく理解するためには免疫の仕組みを把握しておくとよいでしょう。病院やクリニックの診察や検査で医師の説明があったときに、より深くリウマチを理解して、治療に前向きに取り組むことができます。
リウマチに影響を与えるのは「免疫」という、人間に誰でも備わっている体を守る仕組みです。これには多くの細胞が関わっており、それぞれが協力しながら体を病気やウイルス・菌などから守っています。免疫のメカニズムを理解しておくと、病気の治療方針や病状を正しく理解できるようになるでしょう。
知っておきたい免疫の仕組み
まず、知っておきたいのは免疫の仕組みです。
体の中には「細胞性免疫」といって、体を守るために、細胞が病原菌を直接攻撃する仕組みがあります。がんなどの異常な細胞のへ攻撃もこの細胞性免疫によって行われています。
関節リウマチの初期では、関節の表面にある「滑膜」に炎症が起こります。炎症が起こると「好中球」という細胞炎症を起こしている関節の周囲に集まってきて、痛みや発熱の原因になる物質を体内に作り出します。そのまま炎症が継続すると、本来や体の中でいらなくなった細胞などを食べて排除する役割を持つはずの「マクロファージ」の動きが異常になり、さらに炎症が進展していくのです。
このような
- 滑膜に好中球が集まり炎症が起こる
- 好中球が発熱・痛みの原因物質を作り出す
- マクロファージが炎症を拡大する
という流れは、関節リウマチが発症したあとは繰り返し起きます。
この異常事態を薬を使ってコントロールすることで体の中の炎症を食い止め、関節リウマチの症状の悪化を防ぐことができるのです。
リウマチの仕組み
関節リウマチでは体を守る役割をもっている「免疫細胞」によって引き起こされた炎症が原因で、骨や軟骨の組織が壊されていきます。
まず、関節リウマチによる炎症の原因に「リウマトイド因子」が関与していると考えられています。
リウマトイド因子は、体の中にある「IgG」というタンパク質と強く結合する異常な物質で、特に「IgM」という種類の抗体タンパク質でできた異常な因子です。抗体というのは免疫細胞がとても強く働くためのきっかけになっていて、リウマトイド因子を受け取った「マクロファージ」はほかの細胞に情報を伝え、さらに強い炎症を引き起こしてしまいます。
このため、マクロファージの刺激によって、骨を破壊する破骨細胞や軟骨を作っていた軟骨細胞だけでなく、滑膜表面の滑膜細胞に関節を壊すような指令を伝えてしまうのです。
このような一連の免疫の仕組みは、本来であれば体内の異物を排除するための反応の仕組みなのですが、免疫の仕組みの誤作動によって体に攻撃を仕掛けてしまい、慢性的に体の組織を壊します。このため、関節リウマチは症状がわかり次第すぐにでも治療をはじめて体の組織の破壊を止めなくてはならないのです。
治療は免疫をコントロールすることにある
関節リウマチの原因は免疫的な異常が関わっています。体の異常を抑えることで適切な体の状態を作り出すことが関節リウマチ治療の基本的な考えです。
関節リウマチでお悩みの方はある程度の免疫の知識をつけて治療の内容を正しく理解できるようにしましょう。