関節リウマチを適切に診断するためには、さまざまな検査を組み合わせて総合的に判断を下します。病院で行われる検査の内容や項目を把握しておくと、病気の理解や治療法の理解がとてもスムーズになります。
基本的なリウマチの検査
- 問診
- X線検査
- 血液検査
- 関節液の検査
- 合併症の検査
1.問診
問診では診断に必要な情報を患者さんから医師が直接聞きだします。特に重要なのは朝の起きた直後のこわばりの有無です。
関節やその周りの「朝のこわばり」が完全に回復するまで最短でも1時間程度続くことがひとつの判断の分かれ目になっていて、この症状が6週間以上継続していると慢性的な関節リウマチである可能性が高まります。
このほかにも、関節リウマチにかかったときに見られる健康や日常生活の問題を評価するためにアンケートを用いる場合があります。衣服の脱ぐ・着るやボタン掛けなどがスムーズにできるか、また、起立時や歩行に問題がないかを調べます。
2. X線検査
X線検査では関節の形や骨の表面などの形の異常を調べます。骨の萎縮や骨の表面が壊れる「骨びらん」や、関節の隙間の減っていないかなどを調べて診断に役立てます。
最近ではレントゲンの精度が向上したので、骨の表面を覆う「骨膜」の破壊の程度を調べられるになってきました。骨の変化や異常を調べることで正確な診断ができます。
3. 血液検査
血液検査は体の状態を表す非常に便利な指標で、全身の健康状態を把握するためには欠かせません。リウマチでは以下のような検査項目を確認します。
リウマトイド因子
リウマトイド因子は健康な人にも見つかる場合があるのですが、関節リウマチの患者さんの約85%がリウマトイド因子を持っているといわれます。リウマトイド因子だけで決定的な診断を下すことはありませんが、非常に重要な要素です。
抗CCP抗体
抗CCP抗体は最近注目されいてる要素で、リウマチの患者さんの95%の患者さんがこの抗体を持っていて、この抗体の有無が関節リウマチの診断に用いられています。しかし、いまだに不明な点が多く、今後さらに発展が期待されている検査の項目です。
CRP
CRPは体内で炎症がおこっているかどうかを調べるための検査項目です。炎症が起こるとこのCRPが上昇することから、リウマチの炎症の度合いを調べる方法として用いられています。
抗核抗体
抗核抗体はリウマチだけでなく膠原病の状態を把握するために用いられる検査です。抗核抗体が陽性であれば自己免疫疾患がある可能性が高まります。
4. 関節液の検査
関節リウマチでは、関節の間にあり潤滑剤の役割をしている関節液に変化が起こります。関節液は注射で簡単に採取できるので、リウマチの診断では非常によく用いられる検査です。関節液の粘り気が低下し、不透明になったり、関節液内のリウマチ因子の有無などを調べます。
5. 合併症の検査
リウマチの検査に加えて、関節リウマチを引き起こす合併症の検査や、関節リウマチに合わせて発症しやすい病気の検査を行います。シェーグレン症候群や間質性肺炎の検査は非常に重要な検査です。
慢性関節リウマチの診断基準
関節リウマチは問診や検査結果などをもとに診断が下されます。
アメリカ・リウマチ学会により作成された診断基準が参考にされることが多いのですが、早期の関節リウマチは診断がとても難しく、なかなか適切な診断を下せません。現在では、日本の厚生省が作成した「早期リウマチ診断基準」をもとにした早期のリウマチの診断が増えています。
早期リウマチ診断基準
- 朝起きたときに関節のこわばりが15分以上あり、その状態が1週間以上続いている
- 全身の3つ以上の関節の腫れが1週間以上続いている
- 手首や手指の第2、第3関節、または足首や足首の付け根の関節の腫れが1週間以上続いている
- 左右の同じ関節の腫れが1週間以上続いている
- 血液検査でリウマチ因子が陽性である
- X線検査で、手または足の関節に変化がみられる