医師と患者という関係だけではなく「お互いを信用できるか」が重要!
山崎院長がリウマチ患者さんを診察される時の、心構えなどをお聞かせください。
私自身、現在は40~50人くらいの患者さんを外来で診察し、年間で50件くらいの人工関節置換術などの手術を行っています。私がリウマチ専門医となってから7年ほど経ちますが、それ以前からずっと診察している患者さんもいて、長い方は20年くらいのお付き合いでしょうか。リウマチという疾患は、非常に経過が長くなる人が多いので、患者さんと向き合う時には、人と人との信頼関係の上に成り立っているという心構えで接しています。医師と患者という関係だけではなく「お互いを信用できるか」が重要だと考えています。
現在のリウマチ治療は、ごく早期の段階でメトトレキサートなどの抗リウマチ薬を服用すれば、寛解も望めるようになってきました。ただし、誰にでも処方できるわけではありませんので、どのような治療方針とするか、どのお薬を使うと良いのか、患者さんと相談しながら、患者さんも納得した上で、治療を進めるようにしています。
一番のポイントは「患者さんの痛みを抑え、患者さんの望むQOL(生活の質)のレベルを維持できるかどうか」です。これを基準に考えると、時にはお薬を変更することがありますし、場合によっては手術(人工関節置換術)が必要となることもあります。その時も、私の方から一方的に手術を勧めるのではなく、患者さんの痛みはどうか、日常生活に不便は無いかをよく話し合い、「患者さん自身の望みと痛みとの間にギャップが出てきたら」というのを、手術適応の1つとして考えています。それから、高齢者の方は、リウマチが進むと運動器が悪くなります。すると歩けなくなって寝たきりになり、さらに運動量が減り、痛みが強くなります。その悪循環に入る前に手術を勧めることもあります。
医師の外来診察だけでは難しいQOL維持向上をリハビリスタッフとの連携で実現
先生が考える“これからのリウマチ治療”について、お聞かせください。
リウマチ治療の第1選択というのは、抗リウマチ薬などの薬物療法、プラス、リハビリテーションです。当院には、非常に優秀なリハビリスタッフが揃っており、患者さんの日常生活での注意点や、運動の進め方などの指導を担当しています。もちろん、患者さんの「困った」ことは、外来の診察室でも伺うのですが、それをリハビリスタッフと連携し、患者さんへの具体的な指導に役立てています。リハビリスタッフに、足底板用の計測などをお願いすることもありますし、時には、患者さんのご自宅まで訪問し、自宅に手すりを付けるなどの相談も受けてもらうこともあります。
こういうことは、患者さんのQOL維持向上には、絶対に必要だと思いますね。医師による外来診察だけでは、QOLの維持向上は難しいのです。
「本当に痛みを感じない生活」が出来ることが治療の目標
それから、治療について考えると、患者さんが「本当に痛みを感じない生活」が出来ることを目標にしています。リウマチの治療に使用できるお薬は色々ありますが、ごく早期のうちに適切なお薬を使用すれば、比較的早い段階でお薬を辞めることができる(寛解する)人もいる。今は良いお薬があるわけですから、できるだけ多くの人が、寛解に向かえるような治療をしたいとは思います。
その一方で、生物学的製剤などの一部のお薬を、金銭的な面で使用できない人がいるのも事実です。もっと薬の価格が下がれば、より多くの人が良い薬を使えるだろうし、もしかすると寛解も望めるかもしれない、そういったお薬の恩恵を、一人でも多くの人に届けたいとは思います。
それから、患者さんのライフサイクルも重要です。例えば、比較的若い年齢で発症した患者さんの中には、子どもを望む人もいます。そういう患者さんは「今は生物学的製剤を使用したくない」という状況でもありますから、やはり実際の治療方針については、患者さんとよく話し合いながら、ご本人が一番望む結果に近づくような治療を続けたいと思います。
リウマチは、とにかく経過が長くなりがちな疾患ですから、「患者さんが本当に痛みを感じないで生活できる方法」を、常に念頭において治療を続けたいですね。
「痛み」や「辛さ」に共感してくれる“リウマチ専門医”
を選ぶ
患者さんの立場からみると、どのような視点でかかりつけ医を選ぶべきでしょうか。
やはり、自分の話をよく聞いてくれて、自分の「痛み」や「辛さ」に共感してくれる医師を選ぶべきだと思います。リウマチを診察する医師は、整形外科医、内科医など複数の診療科に渡っています。しかし、リウマチという疾患を深く知り、患者さんと共に歩もうとするのは、やはり「リウマチ専門医」ではないでしょうか。その中でも、ご自身が長く付き合えると感じることができる医師を、探してほしいと思います。時には医療機関を変わっても良い。患者さん自身が長く付き合いたいと思える医師、これがポイントだと思います。
東戸塚記念病院について
最後に、東戸塚記念病院での診療体制をお聞かせください。
当院の外来は、基本的には予約制です。私の他にも、2名の医師がリウマチの診察にあたっています。
また、当院には「人工関節センター」も併設していますので、手術による痛みの軽減も目指すことが出来ます。
手術件数は、年間で50例ほどでしょうか。
初めての人工関節置換術であれば、MIS法(最小侵襲手術法)による手術も検討できる可能性があります。
山崎院長プロフィール
東戸塚記念病院 院長 山崎 謙
- ◆出身大学
- 宮崎医科大学
- ◆学会認定
- 昭和大学藤が丘病院 整形外科講師
- •日本整形外科学会 専門医
- •日本整形外科学会 認定脊椎脊髄病医
- •日本整形外科学会 認定スポーツ医
- •日本整形外科学会 認定リウマチ医
- •日本リウマチ学会 リウマチ専門医
- •義肢装具適合判定医師
- •日本脊椎脊髄病学会 認定脊椎脊髄外科指導医
- •日本骨粗鬆症学会 認定医
- •日本医師会 認定産業医
東戸塚記念病院のご案内
所在地 | 〒244-0801 神奈川県横浜市戸塚区品濃町548-7 |
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連絡先 | TEL:045-825-2111(代) FAX:045-824-7626(医事課) |
理事長 | 中村 哲也 |
開設 | 昭和63年10月 |
病床数 | 292床 |
診療科目 | ◆内科 消化器内科 呼吸器・アレルギー内科 神経内科 肝臓内科 糖尿病内科 内視鏡内科 人工透析内科◆外科 消化器外科 肛門外科 内視鏡外科 整形外科 脳神経外科 皮膚科 形成外科 眼科 循環器内科 泌尿器科 麻酔科 救急科 放射線科 |
東戸塚記念病院 人工関節センター |
http://www.higashi-totsuka.com/clinical_dept/arthroplasty.html |